注:ほぼ素人みたいな人間の書いたレビューなので、みょーちくりんな記載があってもあんまりいじめないでください。許してちょんまげ。
1年以上ぶりに実家に帰省した。といっても、ほとんど家の中にはいなくて、実家でしたことといえば初日にメシ食って、あとは風呂と寝床にしかならなかった。久々の関東はやることがたくさんある。北海道比であったかいし。
東京は嫌いだった。住宅地と平野と汚い東京湾しかない千葉の芋少年にとって、東京は最初は憧れの対象だったかもしれない。でも東京に通学するようになって、あまりの人の多さと忙しなさに辟易するようになった。千葉県民というだけでバカにしてくるヤツもいた。東京に住んでることはそんなにえらいのだろうか。親の金で住んでるというのに。何より、東京(都心)では常に上を見上げなければならない。そして上を見上げても、空が狭い。星も見えない。見えないこともないんだな〜とフジファブリックは言っていたが、それは多分奥多摩の話であって、都心じゃ見えないだろあんなの。とにかく、上を見上げなければいけないのが息苦しくて、こんなところにはいられないと思った。
でもたまにくる分にはいい。特に新宿が好きだ。帰省しても東京をフラフラする時は、決まって新宿。なぜなのかはうまく説明できないんだが、多少古臭いのがいいんだろう。地下道とかがそう。別に撮ったわけじゃあないんだが、撮りたくなる。札幌の地下道にも同じものを感じたので、多分、私は古いモノに惹かれるんだと思う。あとは単純に自身のシュミに合っているから。別に歌舞伎町側には滅多に行かないし、夜遅くにいることも今はほぼないから、又聞きするような治安の悪さも見て見ぬふりしている。まあ、昔はよく迷ったので苦手だったが、今では大体構造も覚えられたかな。
なんかよくわからない前段を置いてしまった。本題に入ろう。それで、何を目的とするでもなく、また新宿に来てしまった。新宿に来る前に、品川インターシティにあるニコンミュージアムに寄っていて、ああいうのを見ると人間はダメなんだよね。レンズ、欲しくなっちゃうんだよね。
しかもAIニッコールレンズ特集、みたいな名前の企画をたまたま館内やってて、ニコン関係者が各々のAIレンズで撮影して作例を並べるっていう。おかげで楽しませて頂きましたよ。
実はずっとMFレンズは一本欲しいとは思っていたんだけど、じゃあどれにするかっていうと全然決まってなかった。とりあえずD750に付くAIレンズ以降、できればAI-S…という位。どちらかというと趣味色の強いものだから、あんまりお金かけたくはないし…。
新宿は中古カメラ店がたくさん並んでるから、片っ端から見て回るんだけど、なかなか個人的に光るものがなくて、収穫なしかな〜と思いながら最後に1軒。「新宿中古カメラ市場」さんで、タイトルのこいつに遭遇してしまった。それこそが、
Ai Nikkor 24mm f2.8Sである。
15分くらい悩んで、買い。なんと、¥11,000である。現金のみと言われてしまい(まああるあるだよね)急いで足りない分おろしてダッシュで帰ってきて、即購入。
外観
コンパクトでいい。けど、しっかりしてる感は伝わってくる。リアキャップは、その辺にあったテキトーなやつなので、勘弁して欲しい。後で調べたら相場よりちょっと安めだったけど、カビや曇り、ヘリコイドスカスカとかもないし、全然キレイだ。あんまり人気ないんですかねえ。
いわゆる「カニ爪」がついてる。必要になる場面は、まあ、ないけど、オールドニッコールらしさがあっていいんじゃないですか。分かる人に分かってもらえればね、うん。
レンズ単体では300gを切ってきた。これだけ軽いと気軽に持ち出せて良いね。D750と合わせても1.1kgくらい。スナップにおいて、軽いは正義である。まあ、軽くなくても、なけなしの筋力にものを言わせて振り回すんですけど。
前から(開放)。シリアルは70万台だったけど、これはいつ頃作られた個体なんだろうか。保護フィルターが汚い。例によってフィルター径は52mmなので、手持ちのものとも共用できる。この辺りの配慮はニコン様々。ところで長年つけられたままで固着しているのか、保護フィルターが外れない。どうしたものか。(←後日、ゴム手袋をつけて気合で外した。あまりにも怪力だとレンズを破壊する危険もあるので、あまりおすすめはしないww)
ケツの方から(開放)。f2.8でも結構明るいね。そりゃそうなんだけどさ。パーフェクト個体ってわけでもないんだけど、年式考えたらまあ綺麗な方。
D750に付けるとこんな感じ。レンズがコンパクトだからちょっと不恰好かなと思ったんだけど、真正面から見ると意外に合ってるな。こういう古いレンズを買うと、Dfが欲しくなっちゃうね。どこかから降ってきたりしないかな。
斜め横から。シルバーが入って引き締まる感じ。こう見ると全然不恰好じゃないじゃん。ちなみに専用のフードもあるみたいだ。フードつけたらもう少しサマになるかな。全然意味をなさないらしいけど、ビジュアル重視で。
カメラ側でレンズ情報を手動設定してあげれば、ExifにF値やSSとかの諸々データも残ってくれる。この機能がないカメラの方は…頑張ってください()。
同居人のD5300を借りて、装着。コンパクトボディなので、D750につけるより見た目のバランスが取れてる。APS-Cなら換算36mmだから、標準域の単焦点として実用的に威力を発揮しそうだ。なお、D5000番台とD3000番台は露出もマニュアル(Mモードしか使えない)になるので、露出計がないと修羅の道である。でもその手探り感がたのしいのである。(←ほんとか?)
作例
以下、館山と斜里(と一部釧路)で撮ってきた作例。時々思い立ってはこのレンズを持っていくので、追記の際に作例も追加している。
風景ならば、無限遠に合わせて撮るだけ。AFより早いかも。しかも軽いから、ある程度握力のある人なら、D750との組み合わせでも片手で撮れちゃう。これはいいスナップレンズだぞと、撮りながらもうワクワクしていた。歪曲もほぼ目立たないね。
こっちは開放で。デジイチならライブビュー使えばピントも合わせやすいよね。ミラーレスならなおさら。開放でもf2.8だから、ピント面カミソリすぎる!ってこともないし、まあ扱いやすいんじゃないですかね。色乗りも、結構良い感じ。赤系は鮮やかだけど、青系統は少し淡いのが超好み。
最短撮影距離30cmまで寄れるので、ご飯も撮れる。個人的に、なんでも撮るスタイルなので、料理を撮れるくらいに寄れるのはめちゃくちゃ助かる。いま写真を載せるにあたり、かなり拡大してみて感じたけど、解像度も結構良いな。実用にも耐えてます。
縦でも撮影。開放で。24mmの画角が効いて、空間の拡がりを表現できた。ピント面がよくわかんなくてさすがに粗い感じではあるが、いいんですよ古いレンズだから。この粗さも楽しむくらいの気持ちでいこう。アラサーだし。なにいってんだ。
逆光耐性はどんなもんだろうと思って撮ってみたけど、正直よくわからなかった(笑)。多少ゴースト出てるな〜くらい。この辺はもうちょいテストしてみることにしよう。
左手できっぷを持って、片手で撮影。これができるとオタク的にはめちゃくちゃ助かる。もちろんMFなので、レンズは最短撮影距離に合わせて、被写体側を前後させてピントを合わせるという、いささかみょうちくりんな事をすることになったが。
暗所でもがんばれるぞという一枚(ごちゃごちゃの食いかけですいません…)。寄ることで背景をぼかすことも可能だけど、被写体によっては背景がうるさくなってしまうかも。ところで、趣味レンズになるかと思いきや、なんでもイケるスナップレンズ筆頭になってしまった。
流氷物語号と快速しれとこ摩周号。快晴だとこんなに鮮やかなブルーが出る。これ別に何もいじってないですからね。撮って出し状態だからね。結構素直にありのまま写してくれる感じがする。もうこれ、トキナーAT-X16-28はいらないかもしれない()。
窓ガラス越しだから少し眠いけど、色表現いいでしょ〜。はい。それだけです。しかしなんでこの時の私はf/5.6をチョイスしたんだろう。たぶんカニ爪が一番上にくるポジションだからだな。たぶん。f/5.6で周辺減光もほとんどない。
しばらく出番がなかったので、花咲線旅にまた持ち出してみる。やっぱり使うと、これいいな、となる。また付けっぱなしにしたくなる魔力のあるレンズだ。
カンカンに晴れてたので、やれていなかった逆光テスト。確か無限遠で。かなり意地悪な位置に太陽を持ってきたけど、40年前の設計のレンズと考えたら頑張ってるんじゃないかな。少なくともトキナーAT-X16-28/2.8よりは全然いい。
まだ動いている車内から一撃でとらえた1枚。これはキマった時嬉しかったね。コントラストと空の色乗りが美しい。
三脚を使って長秒撮影。無限遠に合わせて、各種設定したらあとは打ち上げに合わせてシャッターを切るだけなので、下手にAFで頑張るよりも断然ラクだった。フィルター径52mmのNDは4段しか持ってなかったので、もう少し強いのがあってもいいかも。この頃のニッコールレンズは軒並み52mmで揃えてくれているのも助かる。
総括
ということで、小生の拙い作例を公開したところで、締めたいと思う。24mmという画角は日常使いするには広角すぎるのではという不安もあったが、全くそんなことはなく、オーバースペックすぎないのも相まって軽量コンパクトで、非常に使いやすい1本だった。お出かけに持ち出すのに付けっぱなしにしたいくらい、ラクなのになんでも撮れて楽しいレンズだと感じた。
ヘリコイドが軽めなのがMFレンズとしてはうーん…なんだが、どうやら「仕様」ということらしい。欠点らしい欠点はそれくらいで、ついつい持ち出したくなる1本になった。古いレンズとはいえ現行機種にも装着可能かつ流石にf/2.8単焦点なので、投げ売りとまではいかないが、比較的安くて扱いやすいオールドレンズだと思うので、もし状態のいいものを見つけたら買ってみてはいかがだろうか。最初の1本には良い選択肢になるはず。
またAPS-C勢は換算で36mmと、スナップにはもってこいな焦点距離になるので、D7000番台、Z50やZfc+FTZでの運用は現実的なラインだと思う。特に7000番台はよさそう。価格.comのレビューでもAPS-Cでの使用が多い印象を受けた。これはまだ試せてないんだが是非やってみてほしい。小生は嫁のD5300で試したところ、露出含めフルマニュアルになってしまったため諦めた(笑)。
そんな私はいま、24/2.8Sで完全にオールドニッコールの味を占めてしまったため、AI Nikkor 28mm f2.8Sも欲しくなってしまっている…これがレンズ沼である。おしまい。
最終更新:2024/09/18