【レンズレビュー】「AI AF NIKKOR 85mm F1.4D」を1年間使って[第2回]

ということで、またまた素人レビューです。

カメラいじりするようになって実はもう5年も経つんですが、未だに感覚頼り、多少の基礎知識だけ持って、ほんと理論も何もあったもんじゃない人間なので(勿論、少しは自力でもウンウン身につけてはいるんですが、アマチュアの域は間違いなく出ないですな )ミョーチクリンなことを口走っている可能性が大いにありますから、その点はご留意くださいな。

 

なんでこのレンズを買ったんだっけ…と思い返してみたら、時は昨年3月まで遡る。相方が成人式をやったばかりで、4月には21歳になるというタイミングで。21になる前に、後撮りやらないとね〜なんて話をしていたような。

オジサン^_^‼️の頃はそんなに後撮りにこだわりもなかったし、そもそも20歳当時は両親とめちゃくちゃケンカしていたから(笑)、後撮りも何もあったもんじゃないというか、そういう話はないこともなかったんだけれども、いつの間にかどこかに立ち消えてしまったよね。まあいいんですけど。

一生に一度だし、やっぱり女の子は着付けして、ヘアメして、バリバリの晴れ着で撮りたいよね〜なんて呑気に考えていたんですが、そしたら衝撃の一言が飛んできてしまったんだよね。

 

「後撮り、撮って。」

 

正直、「えぇ…どうするべ…(´・ω・`)」という感じだったわけ。いや、全然構わないんだけど、それこそ相手の親族にも渡したりするような写真なわけだし、まずもって一生に一回の後撮りをこんな適当な「あまちゅあふぉとぐらふぁ〜」に任せていいのか…?と。というかここまでしたら流石にもうゴールインするしかないよな…というのはまた別な話なのですが。

しかし任されてしまったからにはやるしかないよな…と言い聞かせ、とりあえずやると決めた。決めたはいいものの、一つ問題が発生。

 

(´-`).。oO「ポートレート用の機材なんか何一つとしてねえよ……

(´;ω;`)」

 

いや、それもそうなんだよ。本体はいいですよ。D750で不足はない。レンズが、まったくもって、ないんだよ。ポートレート向きの。

確かに、D750を買ってからはずっと単独行動ばかりしていたこともあり、風景ばっかり撮ってたので、当時手元にあったレンズといえば

・純正24-85mm/2.8-4D

・純正50mm/1.8D

・純正35-105mm/3.5-4.5S

   (※↑ハードオフで1,000円くらいで買った。)

TOKINA 75-300mm/4.5-5.6

これだけしかなかったわけだ(一応フィルム時代のEシリーズ36-72というのもあるけど全く使ってないし、用途的に戦力にならないのでもうカウントしてない)しかも引越し前後くらいのタイミングで、金ないんだよなあ…でも後世まで(たぶん)残すものだしなあ…。めちゃくちゃ悩んだ挙句、「財政は未来の小生がなんとかしてくれるだろう理論(ガバガバ)」を発動し、購入に至るのである↓それこそ、

AI AF NIKKOR 85mm F1.4D(IF)

である。

正直f1.8Dの方にしようかなあ〜などという妥協案もあったのだが、

「いや!!今しかねえ!!銘玉!!買え!!」という鉄の意志で1.4Dの方を買うことにした。某密林で結構状態いいもの(フード付き)が5万円くらいだったはず。

 

この85/1.4Dは世間ではよく「銘玉」と言われているが、それは本当にそうで、20年くらい売られてたらしい。2015年まで発売(←!?)ですって。すごいよね。小生が高3の頃まで現役だったわけですから。まあNIKKORレンズでこういうことを言い出すとキリがなくて、Ai50/1.2Sなんかはもっとすごいということになってしまうのだが。何はともあれNikonって色々とすごいメーカーなんだよね。

85/1.4Gなんかも出ていたのに、デジタル全盛期2010年代中盤くらいまで売られてたってことだもんね。ニコンイメージングの千夜一夜物語にも第41夜で登場します。一応下にリンク貼っておきます。

ニッコール千夜一夜物語 - 第四十一夜 | Enjoyニコン | ニコンイメージング

今思えば、めちゃくちゃお買い得なレンズというか、中古品しかないとはいえ、相場にしてもむしろこんなに安くていいのか?と感じます。5万くらい出したらこれだけのレンズが買えちゃうわけですから。

これを書くにあたってもう一回価格.comとかで中古相場を漁ってみましたが、今でも5万〜くらいで手に入る感じだなあ。美品でも8〜9万円前後。こんなんもう日割りしたら1年しか使わないとしても200円ちょっとなので、毎日モンスター飲むのとそう変わらない出費というわけだ。。ね?安いでしょ??(←は?)

ただ小生には決して安くない買い物だったので、ヒヨって買う前にめっちゃレビュー漁りましたよ。元々Dタイプレンズが(相対的に安いからというのもあるけど)好きなので、GタイプとかSIGMAとかそっちはあんまり見てなかったね(そもそも小生には高くて買えないし…)。購入ボタンを押すときは指が震えたな。おい自分!!これガソリン7回分くらいあるんだぞ!!という。もう勢いでポチっちゃったんだけどね。

 

f:id:shogaitabibito:20240307203632j:image長さはそこまであるわけじゃあないんだけど、ひんやり&ズッシリしてる。暑い時期ほど触りたくなる。冷えピタみたいなもんだ(←そうか…??)。

メイドインジャパン、しっかり中身が詰まってるという感じ。レンズ名を印字してある部分の素材は「梨地」というらしいが、ザラザラしたスチールな触感は高級感を感じさせてくれる。所有感を満たしてくれるレンズってこういうことだね。

メタルフード「HN-31」も質感が高くて素晴らしいよ。付ける時の金属のひんやり感がクセになる。しっかり金属だから、置くたびにカンカンカンカン鳴る。ちなみにねじ込み式なので携帯性はよろしくない。このレンズの数少ないわずらわしい点かも。でもそんなことすらどうでもよくなるくらい、使ったら惚れますので安心してくださいな。

 

f:id:shogaitabibito:20240426232811j:imageフード付きで600gくらい。フードなしだと550gちょいだった。ガラスがぎっしり詰まっててこの重さなら問答無用で許せる。

 

f:id:shogaitabibito:20240426232903j:image9枚羽根。ちなみに最短撮影距離は0.85m。使ってて思うけど案外寄れる。

 

f:id:shogaitabibito:20240426233020j:imagef:id:shogaitabibito:20240426233024j:image開放で後玉側から。ギリギリまで詰まってる感じ。もう既にたまらんわ。こんな妙なことを口走っていては通報されそうだからこの辺にしとこう。

 
f:id:shogaitabibito:20240307203629j:imageD750に装着。思わず「うひょ〜〜かっこええ〜〜🤭」って声出ちゃったわ。

D750はフルサイズ一眼レフの中でもかなり軽い方だけど、これくらいの重さのレンズが一番バランス取れていいかも。アタッチメントは77mmなので、プロテクターを買うだけでも結構お高くなってしまうけれど、もうどうでもよくなってきますね。小生はプロテクターを中古で買いましたよ。

眺めているだけで、ちょっと上級者になった気分(※本当に気分だけ)になれる。小生だけかもしれないが。Df以外のデジイチは合わなくない?という意見もあるみたいだが、全然似合ってると思うけどね。Dレンズはどんなボディに付けても溶け込むよ。

 

 

【作例】

この1年で撮ってきた写真の中から何枚かピックアップ。すべて北海道での撮影になる。

 

f:id:shogaitabibito:20240406153458j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/40秒 f/1.4 ISO1000 北海道釧路市 北大通

レンズが届いた初日に試し撮りした時のやつ。果敢にも夜間の開放に挑戦。まあ流石にフィルム時代の古いレンズなので、フリンジは出るけれども、個人的にはフリンジは好物なので問題ないんだな。逆光耐性も(昨今のレンズとは流石に比べられないだろうけど)そこまで悪くはないかな。初のf/1.4レンズということで、被写界深度が浅すぎて、開放だとピント面がカミソリすぎるので、OVFだと特に夜間は結構つらいものがある。だがそれがいい。それでいいのである。

 

f:id:shogaitabibito:20240406154422j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/200秒 f/10 ISO200 北海道釧路市 幣舞橋付近

相方の後撮りをした時のもの(オフショットのような)。f/8〜10くらいまで絞ると、画面全体で解像度も高く緻密に表現してくれる。このレンズはポートレートが主戦場なので、本来ならポートレートを上げるのが筋というところだが、とてもじゃないが許可が下りなさそうなので勘弁してください…。Nikon特性として肌色を撮影すると何故か黄色がかりがちなので、そこは撮り手の腕の見せ所ということで。ポートレートならふんわり撮りたいので、f/1.4〜2.8あたりが好みかな。

 

f:id:shogaitabibito:20240406155156j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/160秒 f/8 ISO1000 北海道帯広市 帯広駅 34D

f/8安牌になり始めた頃に撮った1枚。鉄道写真はもう少し望遠寄りと言えばいいのかな、フルサイズでいうと200mm以上の大砲がメイン武器なイメージがあるんだけど、ある程度近くで撮れるシチュなら85mmも十分戦力になる。LEDヘッドもバッチリである。勿論走行シーンを駅間スポットで撮るなら、それなりに構図は練っていった方がいいかもね。

 

f:id:shogaitabibito:20240406161629j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/1600秒 f/1.4 ISO100 北海道根室市 根室駅 5630D

鉄道写真その2。駅のホームから撮る分には全く問題ないということがわかる。しかし開放でもジャスピン決まるとめちゃくちゃ気持ちいい。訓練あるのみである。曇り空の日の描写は単調になりがちというか、のっぺりしてしまう気がするけど、このレンズだと全然そんなことないな。

 

f:id:shogaitabibito:20240406155830j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/320秒 f/2.8 ISO100 北海道洞爺湖町 烏帽子岩公園

洞爺湖町の桜を撮影した時の1枚。あまりカリカリにはせず、f/2.8まで開けてふわっとさせたいな〜という狙いがバッチリ決まった。それはそうと、桜を撮るのってむずかしいよね。小生はいまだに何が最適解なのかよくわからない。露出ややオーバーにすると打率高い気はする。でも巷に溢れる、桜をギトギトのピンクに編集してしまうアレは好きじゃないお。

 

f:id:shogaitabibito:20240406160358j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/400秒 f/2 ISO100 北海道松前松前神社

珍しくf/2で撮ってたので掲載。何を狙いたかったのか正直あんまり覚えてない(というか、今見返しても狙いがわからない)のだが、前ボケも後ボケもエラいことになってるな。開けば気持ちいいくらいボケるし、後ボケもうるさくないし。ズームレンズばかり使っていたビギナーに立ちはだかる壁として、「何か狙いを持って、頭と足を使えば相応のものを示してくれる」という意味で、写真を撮る者に更なる成長を促してくれるレンズな気がする。

 

f:id:shogaitabibito:20240406161104j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/2000秒 f/1.4 ISO100 北海道留寿都村 ルスツリゾート

開放で向日葵を撮影。奥の向日葵に焦点を当てて前ボケを意識していたが、見事に背景の丘もフワフワしてしまった。言うまでもなく手前側の向日葵はふわっと溶けている。開放ですから。それはそうと、f/1.4だと、SS1/8000秒はないと日中はまともに使えない気がしてる。D750は最高1/4000秒なので、日差しが強い日だと、限界まで減感しても厳しい場面もある。開放でガンガン撮るなら、NDフィルターなんか付けるのもアリかも。なお、繰り返すがアタッチメントは77mmなので、お値段は…

 

f:id:shogaitabibito:20240406162340j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/50秒 f/1.8 ISO4000 北海道釧路市 鳥取神社

風鈴を切り取った1枚。流石にISO4000まで上げてしまったので、拡大するとノイズが目立つものの、あんまり引き伸ばさなければそこまで気にならない。レンズ関係ない話は置いといて、f/1.8〜2あたりまで絞ると綺麗な丸い玉ボケが出てくれる。開放だとラグビーボールのような、少し歪な形の玉ボケになる。

 

f:id:shogaitabibito:20240406162835j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/800秒 f/8 ISO100 北海道湧別町 愛ランド湧別

せっかくなので縦の写真も。空のブルーの美しさが際立つ一枚。観覧車でわかるけど、全体的に色乗りはいいと思う。コントラストが程よく、色彩も鮮やかだけど主張し過ぎないのがいい。そのおかげでカラーに関しては編集要らずな写真ばかり撮れてしまう。それにしても融雪期っていやですね。ありとあらゆるものがグチョグチョになる。

 

f:id:shogaitabibito:20240406163506j:imageAI AF NIKKOR 85mm f/1.4 + D750

1/1250秒 f/2.8 ISO100 北海道留寿都村 ルスツリゾート

最後にモノクロも。色彩のナチュラルさと美しさがこのレンズの魅力のひとつではあるけれど、その高い描写力ゆえ、モノクロで撮ってもものすごく楽しいレンズだ。開けば溶けるようなボケ、絞れば綺麗に解像する。その両方の落とし所として、このレンズにおいて最適解はきっとf/2.8で使うことなんだろうなと思う。これを載せるにあたって、羊の顔の毛並みを見てびっくりしたもんな。撮れば撮るほど、ますますこのレンズの虜になっていく。モノクロでこれだと明るすぎるよという方は、編集でシャドウと黒レベルを下げれば大体収まりがつく。

 

 

…ということで、小生の拙い作例をいくつか挙げさせていただいたが、少しは85/1.4Dの良さが伝わっているといいなと思う。実際に使えば使うほど、本当に虜になってしまう銘玉だと感じている。

もちろん最新のレンズを弄ったわけではないので比較はできないし、性能面では劣るんでしょうけど(昨今じゃ85/1.2なんかもあるもんね)、外観や重量、描写力、色彩表現、価格、全てひっくるめて85mm単焦点レンズの歴史に燦々と輝く1本であることは間違いないんじゃないかなあ。

今回は全部デジタルで撮ったけれど、幸いなことにフィルム機もありまして、しかもちょうどよくDタイプと相性抜群のF90Xなんで、フィルムでも何枚か撮ってみたいところだね。いつも撮るだけ撮って、現像がめんどくさくなっちゃうんだよね。うーん。

あ、そうだ、Z機で使ってみるのも面白いかもしれない。DタイプなのでFTZかませてもAFはできないけど、EVFの力をもってすれば、あのカミソリみたいに薄っぺらい開放のピント面であっても、なんとかなってしまうのでは…?と思ったりしている。特にポートレートならなおさらZ機で使いたいよなあ。買っちゃおうかなあ(←え)

ポートレートレンズと巷では言われるレンズであるものの、風景やスナップにも遺憾なく威力を発揮すると実感しているので、ポトレ撮影の被写体がいないぼっちの皆でも手を出して大丈夫だ。85mm単焦点スナップなんかあまりやらないだろうが、これが意外に結構面白いのでおすすめだ。

 

それでは今回はこの辺で。