【レンズレビュー】「Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S」[第3回]

ということで、素人によるレンズレビュー、3回目。

今回のレンズは…

 

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Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S

 

である。AiAFレンズ初代(←これ、なんて呼べばいいんだろうな)と、次世代のDタイプで大量にラインナップされた、エントリー標準ズームレンズ軍団の一員である。たぶん、何かしらのキットレンズにはなってたんじゃないかなあ。ちょっと調べたくらいでは分からなかったけど。

で、なんでこんなレンズを持っているのかというと、1年半ほど前にハードオフのジャンクコーナーに転がっていたからである。お値段なんと1,100円である。ホコリをかぶっていたとはいえ、掃除するだけで使えそうだったので、買ってしまった。が、多少使ってはみたものの、結局24-85/2.8-4Dには太刀打ちできずという判断になった。その結果、通電しなくて置き物になってしまった(これまたジャンクの)F-301に付けられて一緒に置き物になっていた。

 

ただ、24-85/2.8-4Dが最近故障してしまい、30mmあたりからワイド側に回らなくなってしまった。いっそのこと「ハーフマクロ専用35-85/3.2-4D」として生かしてもいいのだけれど、改めてこっちの35-105/3.5-4.5Sも評価してみよう…ということで、今に至る。見た感じこのレンズのレビューはほとんどなかったしね。もちろん何度も言うようだが、素人みたいなアマチュアフォトグラファ〜のつぶやきなので、話半分に聞いてくれよな。

 

35-105/3.5-4.5Sは、86年に発売された初代と、91年に発売された(New)があるみたいだ。

後述するが、マクロ機構を使って撮影してみたところ明らかに0.38m以上寄れたので、多分Newの方なんじゃないかな…と思う。Wiki先生によると、初代はマクロ機構使用時に最短撮影距離0.38mのところ、Newだとこれが0.28mまで縮まっている。万能標準ズームの永遠の課題だと思っている最短撮影距離問題。この10cmの差は大きいよな。ちなみに通常時の最短撮影距離は1.4mである。うーん、きびしい。

 

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最後に使ったのが1年半前なのですっかり忘れていたけど、なんと直進ズームだった。必死で回そうとして回らなくて焦ったのはここだけの話。105mmクラスで直進にしなくても…とは思うけど、被写体に合わせて直感的にスムーズに操作できるのは嬉しい。直進機構には適度に硬さもあるので、首から下げているうちに伸びてくることもない。もっとも、使い込むうちにヘタレてくるのかもしれないが。

 

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重量は500gちょっと。重いということはない。標準ズームならこんなもん。105mmまでカバーしてるんだから文句は言えない。

 

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寸胴、という感じ。実家で眠っていた28-80よりはマシかな…という外観。外観のうち手を触れる部分については、ラバーのような素材になっている。ゴムとプラスチックの中間のような感じ。滑らないという意味では実用的だが、お世辞にも高級感は1ミリも感じられない。まあ、エントリー用レンズみたいなとこもあるので、こんなもんでしょう。

 

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このレンズ最大の特徴である簡易マクロ機構。ワイド端35mmでしか使えないのが痛いところ。テレ端105mmでもこれが使えたらな…と思えてならない。銀色のボタンを押したまま、ボディ側のピントリング(写真では指で回してる部分)を回すことでピントを合わせる。なお、マクロ機構使用時はAF不可(すなわち、MF)となる。(無駄に)マクロガチ勢仕様である。ちなみにマクロ機構部分のピントリングは結構トルクがあって、微調整もしやすい。もはやこれが一番価値がある部分なのではと思う。でも35mmで最短撮影距離0.28mじゃなぁ…

AF初期のレンズではあるが、MF時代との橋渡しのような特色を持ったレンズだと感じた。なお、通常使うピントリング(前玉側のやつ)はトルクスカスカもいいところなので、マクロ機構を使う時以外はMFは無理だと思った方がいい。

 

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それぞれ前・後ろから。前から見た時に何の印字もないのは、少し寂しい感じがする。フィルター径は52mmなので、エントリークラスのレンズとは大体共用できるのがうれしい。ただ前から見るとちょっと…うん。

 

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D750に装着。めちゃくちゃダサくはない。普通of普通。いや中の下くらいか。85/1.4Dなんかとはカッコよさの面でも絶対に比較してはいけない。フードでもあればマシになるかなあ。重量バランスはいい。決して悪いことではないがあまり太さはないので、D一桁機につけたらカッコ悪そうだ(まあ、誰もつけないだろうけど)。

 

 

【作例】

ということで、釧路市北大通付近をうろうろして30分くらい(というか、30分で撮るものがなくなってしまったのと、寒すぎて帰りたくなった)粘り、作例を撮ってきた。なお、全て撮って出しになる。釧路の春らしく、あいにくの曇りだった。

 

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Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S + D750

35mm 1/1600秒 f/3.5 ISO100 北海道釧路市 港文館付近

まずはワイド端開放で1枚。まーーー見ての通りという感じである。流石に周辺光量落ちが目立つのと、中心周辺うんぬん以前に全体的に厳しいなあ…といったところか。まあよく言えば古さに味があるということでもあるけど。絶対に引き伸ばして使ったりはできないけど画面上で見るくらいなら、うん。

 

続いては4枚まとめて行きますよ。(すべて開放)

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ワイド端(35mm)

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50mm付近

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70mm付近

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テレ端(105mm)

歪曲収差がどれだけ出てるかな、と思って港文館の外壁でテストしてみたんですが、まあーーーーすごいことになってますな。流石にこれは「味」という魔法の言葉では片付けられないなあ。これを理解・許容して使えるかどうかということになる。

 

お次は6枚まとめて。D750ですべてAモード、ワイド端35mm、ISO100、EV±0。

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開放(f/3.5)

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f/5.6

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f/7.1

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f/10

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f/16

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f/22

f/7.1〜10あたりが良好な気がする。周辺光量落ちもf/7.1らへんからなくなる。f/5.6も個人的には(あんまり引き伸ばしたりもしないし)まあ実用。f/16〜まで行くと気持ち眠くなってくるかなあ。正直よく分からない。

 

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Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S + D750

105mm 1/125秒 f/4.5 ISO400 北海道釧路市 EGG

後ボケは綺麗とは言わないけど、そこまでうるさくもない気がする。とはいえ最短撮影距離は1.4m。メインの被写体とはある程度距離を取れることが必要になってくる。その制約に耐えられるかどうか…

 

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Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S + D750

35mm 1/50秒 f/4.5 ISO400 北海道釧路市 EGG

マクロ機構を使って撮影。正直これでも最短撮影距離の許すマックスまで近づいたのだが、ツツジくらいの大きさの花でもこれが限界だった。35mmという画角もあり、後ボケにはあまり期待しない方がいいかも。花や苔のためにマクロを使うというよりは、テーブルフォトで使う方が生きそうである。マクロ機構の方のトルクはなかなかにあり、ピント面の追い込みはかなりやりやすかった(手持ちなのでいうほどガチピンじゃないのは許して)。

 

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Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S + D750

35mm 1/320秒 f/4.5 ISO400 北海道釧路市 港文館付近

まあ、このレンズで(テーブル上以外の場所で)マクロ機構を使うなら、デカいものを撮った方がいいんだろうなという結論に至った。花とか苔とか昆虫とか、ガチのマクロレンズが活躍するような被写体には向いてないなと感じる。焦点距離35mmで0.28mだと寄れない。もっと色々撮りたいならレンズもステップアップしていけよ、というNikonからのメッセージか。お布施させていただきます。

 

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Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S + D750

105mm 1/320秒 f/8 ISO100 北海道釧路市 港文館付近

f/8で。なんだかんだで日常使い用と割り切ればいいのではという気持ちになってきた。ボディ依存になるだろうがD750でも日中のAFは問題ないスピードだったし、コントラストも悪くないと思う。ところで、105mmという焦点距離を普段使わないので、思ったより足りなくて焦るシーンが多かった。これは素直に小生の力不足である。

 

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Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S + D750

105mm 1/80秒 f/10 ISO100 北海道釧路市北大通

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Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S + D750

35mm 1/320秒 f/8 ISO100 北海道釧路市北大通

f/8〜10くらいに絞って使えば(日常使いなら)大抵の人は問題ないんじゃないかなあ。だってこれをジャンクコーナーで手に取る人は何も分かってない人か、分かってて敢えて使う物好きな人しかいないと思うから。日中なら気軽にスナップに持ち出せるくらいの重量とスペックではある。まあ、レンガみたいなのは撮らない方が吉だし、普通にフリンジも出るけど。それにしても北大通もこの3年間でどんどん変わっていくなあ。

 

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Ai AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S + D750

35mm 1/200秒 f/5.6 ISO400 北海道釧路市北大通

道端につくしが生えてた。比較的あっさりした淡い色味は小生の好みである。D750との組み合わせだと少し暗いことが多いので、必要に応じて調整するといいかも。

 

【総括】

1年半ぶりにこのレンズを引っ張り出してきたわけだが、改めて「今」この35-105/3.5-4.5Sを買う理由があるかというと…正直「叩き売り価格」以外に見つからないかな…という気がする。というかこれ買うなら28-105/3.5-4.5Dとか、なんかもっといい選択肢があるというのは揺るぎない事実。Dタイプだってズームレンズなら今そんなに高いわけじゃないし。なんならGタイプでもサードパーティ製でもいいわけで。

 

小生の中で「やっぱりこれは出番ないな…」と思えてしまったのは、改めて使ってみてもやはり24-85/2.8-4Dの使い勝手に勝てないな…というのがデカい。重さも大して変わらんし、明るさがそこまで変わるわけではないんだけど若干は明るくなるし、マクロ機構が35-85mmで使用可能、加えて0.21mまで寄れるとなれば、大抵のものは撮影できてしまう。それこそスナップから料理、ポートレート、風景から天体までなんでも。あと個人的にテレ側の「105mm」という焦点距離が、意外に85mmと差別化できなかった。24-85/2.8-4Dもそのうちレビューしようかな。

 

やっぱりマクロ機構が35mmでしか使えないのが惜しすぎたな〜と思う。ほんとにテーブルフォトで使うことを想定していたんだろうなあ。これがテレ端とは言わないからせめて70mmくらいまで使えれば…もっと日の目を見たレンズだったかもしれない。間違いなく高価にはなっただろうけど。

まあガチガチのガチに使うんでなければ、何か特徴があるわけではないけど逆に変なクセもないし、スナップ+テーブルフォトくらいなら全然こなしてくれるんで、物好きな方は買ってみてもいいかもしれない。バーゲンセール通り越して二束三文状態だし。小生のようにDタイプのズームがメインの人は、壊れた時のバックアップくらいはしてくれる。見つけた時は気にかけてあげてくださいな。

 

最終更新:2024/04/25